「新規電子ディスプレイとその駆動回路の開発」

1.電子ペーパーの開発

電子ペーパーという観念はディスプレイとペーパーの両方の特性を持つものとされている.すなわち,紙のように薄く・白く・安く,ディスプレイのように表示が瞬時に手元で変わるという特性を満たさなければならない.このような表示デバイスは既存の反射型液晶ディスプレイ技術の延長では達成困難であり,全く別の表示デバイスの開発が必要とされる.我々は現在,電気泳動ディスプレイと電子分流体ディスプレイという新規の反射型ディスプレイを基に電子ペーパーの実現にチャレンジしている.

2.有機薄膜トランジスターのディスプレイ応用

有機薄膜トランジスターは低コストで大面積の電子ディスプレイを作成するキーテクノロジーとして注目されている。しかし、現在はトランジスター単体の研究に留まり実際にディスプレイに応用する段階まで達していないのが現状である。いざ有機薄膜トランジスターを用いてディスプレイを作製してみると様々な課題が出てきて、今までの基礎研究が非常に無意味な方向に進んでいることがわかる。我々は有機薄膜トランジスター技術の出口を正確に見据え、その応用への課題を解決する研究を行っている。

3.アモルファスシリコンTFTを用いたアクティブマトリックス駆動有機ELディスプレイの開発

有機ELディスプレイは液晶ディスプレイに代わる次世代ディスプレイとして第一候補に挙げられている.既に13インチ以上のフルカラーディスプレイが発表され,そのディスプレイとしての優秀さは実証済みである.したがって,現時点での問題点は生産コストの低減に移っている.多くの先行メーカーは駆動素子としてポリシリコンTFTを選択しているが,我々はアモルファスシリコンTFTを用いることにより生産コストの低減を目指している.

4.ポリシリコンTFTを用いたアクティブマトリックス駆 動有機ELディスプレイの開発

アクティブマトリックス駆動有機ELディスプレイの駆動素子でポリシリコンTFTを用いる理由はその高電流駆動能力ではなく,周辺回路の取り込みによるコスト低減にある.我々はその駆動方法として電流指定アクティブマトリックス駆動を世界に先立ち提案しており,現在その周辺回路を設計中である.これにより周辺回路一体型パネルが実現できコスト低減が実現できると考えられる.

5.有機ELディスプレイドライバーICの開発

我々が提案している電流指定アクティブマトリックス駆動は有機ELディスプレイの駆動方法としてスタンダードになりつつあるが,この駆動法に専用のドライバーICが必要となる.このICには各出力端子における定電流源のバラツキを1%以内に抑えることが必要とされるが,この実現は非常に困難とされている.またこの問題はパッシブマトリックス駆動においても同様で,これらドライバーICの開発は有機ELディスプレイの将来を左右する.我々は定電流源のバラツキを1%以内に抑える独自の技術をもち,現在,そのパッシブ・アクティブ用双方のドライバーICを開発中である.

6.新規ディスプレイの駆動回路の共同開発

新型ディスプレイのための新しい材料が開発できても,それをディスプレイとして完成させるためにはさらに多くの時間と知識が必要となる.特に材料メーカーの方々は自社内ではそのような開発の経験や技術を持たれていない事が多い.我々は今までに各種ディスプレイの駆動回路の開発に取り組んできた.そこで得た経験を基に新型ディスプレイの駆動方法,駆動回路,ドライバーIC,アセンブリー,評価などの技術的なサポートする.

研究体制:博士2名,修士2名,学部1名

キーワード:フラットパネルディスプレイ,有機ELディスプレイ,OLED,薄膜トランジスター,電子ペーパー,電気泳動ディスプレイ,電子粉流体ディスプレイ,ドライバーICMEMS